兼　題　　｢妥協｣

忌憚なくぶつかり合って妥協点　　　　遠藤砂都市

国境の握手に残るキナ臭さ　　　　　　滝川弘平

妥協案呑んで燻る胸のうち 　　　　　 梶谷八千代

妥協した振りで納まる夫婦仲　　　　　鈴木萌子

成る程とうなずいて居る目に出逢い　　瀬崎惠秀

題　「占い」 　

傷口にやんわり触れる占い師　　　　　瀬崎惠秀

大吉を枝に結んで福を待ち　　　　　　梶谷八千代

手相見がちらりちらりと顔も読み　　　松下かずお

美人の手ねんごろに観る占い師　　　　滝川弘平

天下取る手相といわれ職が無い　　　　遠藤砂都市

自　由　吟

今はただ髪の白さを笑い合う　　　　　神戸汎子

負ける筈ない横綱に土がつき　　　　　鈴木萌子

あの人が来てると分かる高笑い　　　　松下かずお

嫁さんによく叱られる物忘れ　　　　　吉野多喜

涙腺のもろさを夫婦して笑う　　　　　遠藤砂都市

営業マン移動電話で監視され　　　　　設楽そのえ

農業を継ごう祭が呼んでいる 　　　　 梶谷八千代

尻取り川柳 　　結　句 「初詣で」

初詣で宗派を問わず願い事　　　　　　遠藤砂都市

願い事卯に託し時を待つ 　　　　　　 吉野多喜

時を待つ人の身になり世話したい　　　山城白川

世話したい美形のあの子嫁の口　　　　白土傘平

嫁の口心配よそに娘は跳ねる 　　　　 梶谷八千代

娘は跳ねるついて行けないお守り役 　 松下かずお

お守り役もう疲れたと置手紙　　　　　鈴木萌子

置手紙帰宅時間はすでに過ぎ　　　　　神戸汎子

すでに過ぎ三高望み子連れ夫　　　　　海老沢まり

子連れ夫無心の笑顔抱きしめる　　　　飯名葭古

抱きしめる望は高い出世欲　　　　　　設楽そのえ

出世欲にぎり拳の中にある　　　　　　瀬崎惠秀

中にあるリンゴの蜜に笑みこぼれ　　　佐々木和子

笑みこぼれも一度願う一等賞　　　　　滝川弘平

一等賞旅行クイズに精を出し　　　　　村島昭平